住宅ローンには「 変動金利 型」「固定金利型」「固定期間選択型」の3種類があります。
世の中の金利変動に連動して金利が変わるのが変動金利型、変わらないのが固定金利型、一定期間の固定金利を経て、再度金利を選択するのが固定期間選択型です。
今回は 変動金利 を中心におさらいしてみましょう。
6ヵ月、5年、125%ルールとは?
変動金利型には、通常、「6ヵ月・5年・125%」という一定のルールがあります(※元利均等返済の場合)。
・6ヵ月ルール:金利は6ヵ月ごとに見直される。
・5年ルール:金利が上昇しても5年間は返済額が変わらない。
・125%ルール:金利が上昇し返済額が増えても、返済額は最大1.25倍までしか増えない。
それぞれを詳しくみていきましょう。
6ヵ月ルール
変動金利 の場合、6ヵ月ごとに金利が見直されます。
そして、もしも金利が変動したら、利息支払分と元本返済分の割合が変動していきます。
ちなみに、 変動金利 の動きは、日銀の金融政策の影響を大きく受けます。
つまり、日銀の金融政策をウォッチしておけば、 変動金利 がどのように動いていくのかを予測することができるというわけです。
流れはこんな感じです。
変動金利 は、短期プライムレートという金利をベースに決まります。
短期プライムレートとは、金融機関が優良企業に対して短期(1年未満)で融資をする際に適用する金利のことです。
そして、短期プライムレートは、無担保コール翌日物の影響を大きく受けます。
無担保コール翌日物とは、銀行間での超短期(1日未満)のお金のやり取りに利用する金利のことです。
そして、無担保コール翌日物は、日銀の金融政策の影響を大きく受けます。
つまり、住宅ローンの 変動金利 は、日銀の金融政策の影響を大きく受けるというわけです。
5年ルール
変動金利 は半年ごとに金利が見直されますが、返済額が変化するのは5年毎です。
それまでは、金利がいくら変動したとしても、利息分と元本分の割合が変わるだけで、返済額自体は変わりません。
例)月10万円のローンの場合
・金利上昇時:当初、利息分4万円、元本分6万円 → 金利上昇 → 利息分5万円、元本分5万円に
・金利下落時:当初、利息分4万円、元本分6万円 → 金利下落 → 利息分3万円、元本分7万円に
(注:1万円ずつ変化するわけではありません)
金利が上昇したとしても返済額が変わらないというのは、一見うれしいかもしれません。
しかし、返済額が変わらない分、金利が上昇し金利負担が増えているということに気が付きにくい、というデメリットもあります。
125%ルール
そして、金利が上昇し、5年後にもしも返済額が増えることになったとしても、直近の返済額の1.25%までしか増えません。
これが125%ルールです。
例えば、直近の返済額が月10万円の場合、どんなに金利が上昇したとしても12.5万円までしか返済額は増えないのです。
変動金利型にはこのようなルールがあるため、市場金利が上昇してもローン返済額が急激に増えることはありません。
しかし、返済額が急激に増えなくても金利負担は増えていきます。
金利が上昇した分、元本返済分は減っていくのです。
そして、ローンが満期になったときに、もしも残債がある場合には、原則一括で支払う必要があります。
固定金利と 変動金利 の根本の違いとは?
住宅ローンの金利の種類を検討するときには、その根本の違いを理解することがとても大切です。
その根本の違いとは…?
・ 変動金利は、金利変動リスクを自分が負うということ
・ 固定金利は、金利変動リスクを銀行が負うということ
です。
固定金利の金利が高いのは、「将来金利が上昇したときの負担増を銀行が代わりにかぶってくれる」ということを約束してくれているからなのです。
変動金利 型に適した人とは? 金利上昇への対応は?
では、 変動金利型に適した人とはどんな人でしょうか?
それは、資金に余裕がある人です。
万が一、市場金利が上昇したとしても、それに対応できるだけの資金を持っている人なのです。
日本では長い間低金利が続いていますが、これはいつまで続くのかはわかりません。
金利上昇への対応としては、いざというときには繰上げ返済ができるように、手元の資金を豊富にしておくことがとても重要です。
住宅ローンは何十年もの間、お付き合いしていくものです。
ただ、現時点だけを見て「金利安いから」とか「返済額が少なくなるから」という理由だけで選ぶのはあまりにも危険です。
その点をしっかりと考えて、住宅ローンを検討してみてくださいね。
※元利均等返済:「毎月のローン返済額は10万円」というように、毎月一定の金額を返済する方法。借入当初は利息支払い分が多く、年数が経つにつれて元本返済分が多くなっていきます。
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